パラレルワーク(複業)、パラレルキャリアと副業の違いとは

パラレルワーク(複業)という言葉が今注目を浴びています。
これは、同時並行的にビジネスに取り組む、といった意味合いで、このパラレルワークによって一つの収入源に依存せずに、複数の仕事(事業)や案件から収入を得るようにすることが可能となります。
パラレルワーク、複業、またはパラレルキャリアと呼ぶこともあります。
一方で、「副業」という言葉もあります。これまでは副業禁止が一般的でしたが、最近では徐々に副業解禁の流れも出てきています。
このパラレルワーク(複業)と副業の違いは、その比重です。
副業と言うと、本業があってその補佐として副業があるというイメージですが、パラレルワーク(複業)、パラレルキャリアは、本業の仕事が複数に分散されているといったイメージです。
このパラレルワーク(複業)の大きなメリットとして、「リスクヘッジ」があります。
生活を一つの収入源に依存していると、万が一そのビジネスが破綻した際に、一気に収入が断たれてしまう危険性があります。
そのリスクヘッジも兼ねて、複数の収入源を持っておく、というのがパラレルワーク(複業)、パラレルキャリアのメリットです。
今の時代は流動的で、これまでと比較すると、未来は全くの不透明。
技術革新で必要なくなる仕事が増え、潰れる企業や突然のリストラも多くなるかもしれません。終身雇用もなくなるでしょう。
また、異常気象や天変地異も頻発しています。
一寸先は闇。国の保障も、どこまで行ってくれるか分かりません。
こうしたなかで生き残っていくためには、自分たちでリスクヘッジをあらかじめ打っておく必要があります。
その一つの方法として、「パラレルワーク(複業)、パラレルキャリア」という考え方が注目を浴び、最近では「二地域居住」というキーワードも登場するようになりました。
パラレルワーク(複業)におすすめの仕事「農業」
このパラレルワーク(複業)やリスクヘッジの一環として、「農業」というのが、密かに注目を集めるおすすめの仕事です。
昔の日本人が、大胆にチャレンジできた理由に、田舎にいざというときに売れる山や土地を保有していること、あるいは、農地を持っているため「最悪、食うに困らない」という地盤があった、ということが挙げられます。
加えて、地域コミュニティもしっかりしていたことから、失敗しても、最低限は大丈夫、という安心感があったと思います。
しかし、戦後、日本の農業人口は減少し、工業化が進みます。サラリーマンが増加し、また「ローン」という仕組みも浸透していきました。
そのため、特に都心部では、住むこと、食べることのためには、絶対に企業を解雇されるわけにはいかない、すなわち「失敗できない」、という硬い縛りが生じ、結果、チャレンジングな精神も削がれていきました。
こうした点を踏まえても、もう一度「自分の食べるぶんを自分の手でつくる」というのが、これからの時代の大きな備え、リスクヘッジ(地盤)として重要な役割を担っていくでしょう。
しかし、いきなり仕事として農地を持って専業農家になったり、兼業農家になるということは、様々なハードルから難しいことです。
特に都市部で生まれ育つと、農業や漁業といった自然に密着した仕事は、遥か遠くのことのように感じます。
そこで、まずは貸し農園で小さく自給自足を始めてみるのがおすすめです。
たとえば、東京、神奈川、千葉、埼玉、また大阪や神戸といった都市圏で無農薬野菜を栽培できる貸し農園の「シェア畑」というサービスがメディアでも取り上げられています。
この「シェア畑」では、農業スペースを借り、季節ごとの種や苗、また農具なども準備されているので手ぶらで通うことができる、というのが特徴です。
新鮮で安全な野菜を自分たちで育てる、という感覚を徐々に覚えていくことで、将来的に、もう少し大きな規模で自給自足を行いたいと思えるかもしれませんし、そのための準備や練習にもなるでしょう。
海外で注目される、オーガニック貸し農園の試み
海外では、こうした貸し農園を通じ、「自給自足」の側面だけでなく、「パラレルワーク(複業)」の側面にも光を当てた試みが実施されています。
オランダの首都アムステルダムから車で二時間の地に、「ホフ・ヴァン・トウェロ」というオーガニック農場があります。
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このオーガニック農場には、レストランやファーマーズマーケット、キャンプ場などが併設され、その他、農場内を裸足で歩き回る「ベアフットトレイル」が体験できたり、オーガニック農業や食べられる野草に関する講義を聴くことも可能となっています。
また、「ホフ・ヴァン・トウェロ」では貸し農園も行われているのですが、この貸し農園では、一風変わったサービスも提供しています。
それが、「育てた野菜を販売してくれる」というもの。
貸し農園といえば、農家さんから借りた農地を週末に手入れし、できた野菜を自分たちで収穫して食べるというのが一般的。このホフ・ヴァン・トウェロも基本的には同じシステムですが、育てた野菜を、“農場側で販売してくれる”という点が他と大きく異なります。
この貸し農園では、自分では食べきれない量の野菜が収穫できるので、そのぶんを農園側が販売してくれるというわけです。
自然と触れ合うことでリフレッシュもしますし、オーガニックな野菜を食べることで健康にもなれる。
加えて「販売」もできるという「パラレルワーク(複業)」的な側面もある。
野菜を購入する人たちが農園近くに住んでいる地元の人たちなら、地域の活性化や住民の健康にも繋がるという参加意識も芽生えるかもしれません。
日本でも、その野菜を地域の子供たちの給食に活用する、といった仕組みがあれば、素敵な循環が生まれるのではないでしょうか。
残念ながら、日本では農地法で営利目的の農地の転貸は禁止されている関係上、全く同じ仕組みは行えないようですが、アイディア一つで色々な可能性が考えられる方向性であることは間違いないでしょう。