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甲斐さおり『ほどよい量をつくる』|レビュー・感想

甲斐さおり『ほどよい量をつくる』|レビュー・感想

ものに溢れた現代社会では、環境問題を筆頭に徐々にそのほころびも顕在化、新しい価値観の時代に合わせて歩みだしているひとも多いのではないでしょうか。

シンプルやミニマムライフ、断捨離、持続可能性といった考え方も浸透し、なるべく自然に優しく、自分自身も自然体で暮らせるような生活の在り方を模索する流れが世界中で進んでいます。

個人の暮らしの在り方や嗜好が変われば、商品を販売する企業も変化し、次第に社会全体も変化していくでしょう。

実際、おしゃれに、かつエコや自然体で生活できる「暮らし」の向上を目指す企業も増加してきていますが、その代表格と言えば「無印良品」ではないでしょうか。

無印良品は、良質で理性的な「で、いい」(無印良品でいい)を提供することで、生活の「基本」と「普遍」を示し続けたい、というメッセージを発信(参照 : 無印良品のメッセージ)。その思想を含め、世界的にも人気の高い企業の一つです。

また、地方でも、利益中心になりすぎないような哲学を持った企業も数多く存在し、こうした企業を丁寧に紹介している本に甲斐かおりさんの『ほどよい量をつくる』という一冊があります。

甲斐かおりさんは、地域をフィールドにしたライター、編集者さんで、「地方」や「移住」をテーマに、食、ものづくりなどの視点から執筆。

この『ほどよい量をつくる』も、大量生産や人件費を削ってコストカットする、といった数を追いかける手法ではなく、「ほどよい量」をつくりながら、地方を中心に会社としても業績を出している企業を取材し、インタビューなどからその哲学を探っていく本です。

もともとシンプルやエコというのは、日本文化とも馴染みやすく、世界の潮流もそちらに進んでいくなかで、こうした企業も今後ますます増えていくでしょう。

地方の企業担当者や公務員の方々、また就活中の学生や地方で起業を考えているビジネスマンにも進路の参考になる本だと思います。

以下は、『ほどよい量をつくる』に取り上げられていた企業の一部です。

ほどよい量をつくる企業

◆ライツ社 兵庫県[WEB]

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◆株式会社マーヤ 東京、千葉[WEB]

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◆佰食屋(ひゃくしょくや) 京都[WEB]

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◆シタテル株式会社 東京[WEB]

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◆パンと日用品の店 わざわざ 長野[WEB]

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◆うなぎの寝床 福岡[WEB]

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◆筒井時正玩具花火製造所 福岡[WEB]

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◆鍛冶屋工房 WORK SHOP

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