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アメリカの食品事情 〜日本と比較、オーガニック食品の普及は?〜

アメリカのオーガニック食品の普及

先日、自然栽培の野菜や果物、その他様々なオーガニック商品を販売する「ハミングバード」さんからメルマガが届きました。

メルマガの題材は、「アメリカのオーガニック食品ブーム」に関する現地視察の情報。以下、この現地レポートなどを参考にアメリカのオーガニック事情について解説したいと思います。

アメリカでは、この10年ほどで徐々にオーガニック食品の熱が高まり、今ではすっかり日常的な食材、商品としてオーガニック食品が浸透しています。

ヨーロッパも含め欧米では、オーガニック市場は年々拡大、全体の売上額も増加しています。

世界のオーガニック市場は拡大しており、トップを走る米国では売り上げ額3.2兆円を記録。韓国もオーガニック農産物の出荷量が年36%の割合で伸びている。一方、日本の市場規模は欧米より1ケタ小さく、約1300億円程度だ。

出典 : NIKKEI STYLE「麻布十番に仏オーガニックスーパー 急成長し日本上陸」

今回、「ハミングバード」のスタッフさんが視察に行った店の一つ、アメリカの有名なオーガニックスーパーである「ホールフーズ」でも、果物に野菜、加工品まで、お店の中がほぼ全部オーガニックで揃っていたと言います。

画像 : Amazon Begins Grocery Delivery from Whole Foods Market with Plans for Expansion in 2018

オーガニックスーパーであれば、店全体が素材へのこだわりを謳っているため、客としても原材料の表示をいちいちチェックする必要はありません。

日本でも、東京など都心部では小規模な自然食品店は増えてきていますが、オーガニック食材で統一されている大型のスーパーというのはほとんど存在しないのではないでしょうか。

しかし、アメリカでは、スーパーという日常的に購入できる形態でオーガニック商品が普及し、すっかり生活に浸透しています。

ただし、こうしたオーガニックスーパーでも、無農薬無肥料の自然栽培のような食材については採算の関係上扱っていません。

その場合は、スーパーではなく、地域のファーマーズマーケットに出向いて個別に農家の方とやりとりする必要があるようです。

なぜアメリカでオーガニックが普及するのか

さて、それでは一体なぜアメリカではオーガニック食品がこれほどまでに普及しているのでしょうか。人口差はありますが、売上額を比較するだけでも、アメリカが「3、2兆円」、日本は「1300億円」と雲泥の差があります。

日米の差の理由として、一つは環境問題や動物愛護に対する意識の高さが挙げられるでしょう。

農薬や化学肥料を使う野菜や、家畜にホルモン剤を多用するような肉、また環境を破壊するようなプラスチック製品はなるべく避け、オーガニック食品を購入する、ということは、自然環境に対する一つの態度を示すことに繋がります。

そして、オーガニック商品を購入することによって、環境保全に取り組んでいる企業を実質的に応援することになります。

消費で意思表示する、という習慣が根付いている、ということが言えるかもしれません。

もう一つの理由として、健康意識の高さも挙げられるでしょう。

日本では、善かれ悪しかれ国民皆保険制度が充実し、誰もが安価で医療にかかることができます。

その気安さが、逆に、体を壊しても薬を飲めばいいといった日々の健康意識の低さに繋がっていきます(結果、日本人は世界でもトップクラスの薬使用量になってしまっています)。

一方、アメリカでは、保険制度が整っていないため、病気は「自己責任」の比重が強くなります。

必然的に、普段の健康意識も高まっていきます。

日本でも、経営破綻した夕張市は、病院がなくなったことによって逆に市民が健康になった、という話もあるほどです。

ただ、アメリカは、国民性や経済格差などが要因となって、健康意識に関しても高低が大きく二極化しています。

ジャンクフードに大量生産食品、遺伝子組換え作物、肥満や薬物依存などが問題となっている人たちも多数存在しています。

とは言え、着実に環境や健康に関する意識が高まっているのも事実であり、これは他のヨーロッパ先進国でも同じことが言えるでしょう。

こうした欧米の状況と比較すれば、日本ではまだまだオーガニック市場は低迷、一般的に普及するまでには至っていません。

東京オリンピックの際に訪れる外国人には、なぜ東京にオーガニックのスーパーやベジタリアン対応のレストランが少ないんだ、と不満に思うひとも多いでしょう。

たとえば、無農薬米や天然魚を使ったオーガニックな寿司屋はほとんどありません。

せっかくのSushiを、Organicな食材で食べたいという外国人もいるはず。こうした点でも、オリンピックを契機に変わっていくことを願っています。

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